0歳の授乳トラブルと対処法|母乳不足・乳首の痛み・乳腺炎を助産師が解説

0歳の授乳トラブルと対処法|母乳不足・乳首の痛み・乳腺炎を助産師が解説

「母乳足りているかな?」「授乳のたびに乳首が痛い」「赤ちゃんがうまく飲んでくれない」など、赤ちゃんが生まれて授乳が始まると、さまざまな悩みが出てきますよね。

特に初めての育児では、「これって普通なの?」「このまま授乳を続けて大丈夫?」と不安になることもあると思います。

この記事では、0歳の赤ちゃんに多い授乳トラブルとその対処法、専門家に相談したほうがよいケースについて、助産師がわかりやすく解説していきます。


1. 0歳の授乳でよくあるトラブル

0歳の授乳でおこりやすい代表的な3つのトラブルについて解説していきます。

もちろん授乳間隔や母乳の出方、赤ちゃんの飲み方には個人差がありますので必ずしもトラブルになるというわけではありません。

 

① 母乳が足りているのかわからない

母乳ってどのくらいの量を飲んだのか…実際に目に見えるわけではないからこそ足りているのか不安になりますよね。

特に「さっき授乳したのにすぐに泣く」「授乳間隔が中々縮まらない」「そういえば最近胸が張らなくなった?」なんてことがあると「母乳が足りてないのかも⁉」と不安になるママも少なくありません。

実際には今あげたような事だけでは、「赤ちゃんは母乳不足です!ミルクを足しましょう!」とすぐに判断できるわけではありません。

母乳が足りているかどうかは、乳房の張りや授乳間隔だけではなく、赤ちゃんの体重増加、排尿・排便、授乳中の様子、赤ちゃんの全身状態などを総合的に確認することが大切になります。

「足りないかも」と自己判断するのではなく、心配な場合は定期健診の時や小児科・助産師などへ相談して直接赤ちゃんや授乳の様子を見てもらうと良いでしょう。


② 赤ちゃんがうまく吸えない・すぐ離してしまう

母乳育児が軌道にのる前におこりやすく、赤ちゃんが乳首をくわえてもすぐ離してしまう、なかなか吸い始めない、授乳に時間がかかるなどのお悩みも多く聞かれます。

うまく吸えない原因はひとつではありませんが、乳首を浅くくわえている、授乳姿勢が合っていない、乳房が張ってくわえにくいなど、赤ちゃんや乳房の状態によって理由は様々です。

まず確認したいのは、授乳の姿勢です。

赤ちゃんのおへそがママの方を向き体がねじれていないか、赤ちゃんとママが紙一枚入らないくらいピタッと密着しているか、赤ちゃんの高さはママの胸の高さにあり低すぎないかが大事になります。

ママの肩など身体に力が入っているとその緊張も赤ちゃんに伝わりますので、ママがリラックスできる環境や姿勢も大切です。姿勢を整えただけでも吸えるようになることもありますので今一度確認してみてください。

また良い授乳姿勢がとれると赤ちゃんは乳首だけではなく乳輪まで深くくわえやすくなります。浅くくわえて吸うことは、乳頭の傷やその他トラブルの原因にもなりますので痛みがある場合は、授乳姿勢とくわえ方を見直す方が良いでしょう。

何度試してもうまく飲めない場合や、赤ちゃんの体重増加などが心配な場合も専門家へ相談してみると良いでしょう。

 

③ 授乳すると乳首が痛い・傷ができる

「授乳は痛くて当たり前」と我慢し続ける必要はありません。痛みはなにかがうまくいっていないサインです。

授乳のたびに乳首が痛い、ヒリヒリする場合は傷や出血がある場合もあります。授乳開始直後などは傷がなくても痛みを感じる場合もありますが、一時的です。そうではなく強い痛みが毎回続く場合は「今吸えてるから…」と我慢し続けてしまうと余計にトラブルがひどくなる事もあります。

特に②でお話した赤ちゃんが浅くくわえている時など、乳頭に負担がかかっている場合は痛みが出やすくなります。その時は赤ちゃんの口と乳首の間に軽く指を入れ吸う圧を抜いてから、くわえなおしましょう。

吸ってる状態のままひっぱって口から離そうとすると、傷を作ったり傷を悪化させてしまう原因になります。

(②の授乳姿勢も再度見直してみてください)傷や出血がある、強い痛みが続く、授乳すること自体がつらくなっている場合は我慢せず早めに助産師や医療機関へ相談しましょう。

 

2. 乳房が張る・しこり・痛みがあるとき

授乳中は赤ちゃんの飲み方だけでなく、乳房の張りや痛みなどママ側のトラブルが起こることもあります。

 

① 乳房の張り・しこり

産後すぐや授乳間隔が空いたときなどに、乳房の張りや違和感を感じる場合があります。産後すぐは、母乳をつくるために乳房への血液量が増え、母乳の分泌も少しずつ増えていきます。

そのため、乳房に熱っぽさや硬さを感じたり、パンパンに張ったりすることがあります。特に母乳の分泌が増えてくる産後数日は張りを感じやすい時期です。(もちろん張り方や感じ方には個人差があります。)

この時期の張りは生理的なものなので、赤ちゃんが欲しがるタイミングに合わせて授乳し、乳房の状態をみながら経過をみていきましょう。

それ以降で、乳房の張りやしこりが見られた場合はとにかく一番の解決策は赤ちゃんが飲める状態であれば飲んでもらう事です。張りやしこりがあると授乳を止めてしまう方がいますが、可能な状態であれば授乳は続けた方が状態は悪化しにくく解消へ向かいやすくなります。飲めない場合も搾乳が可能であれば効果的ですが強く揉むなど、自己流で無理なケアはしないほうが良いでしょう。

赤ちゃんに飲んでもらっても痛みやしこりが続く、悪化しているなどの場合は助産師や医療機関へご相談ください。

 

② 乳腺炎かも?

乳房の張り・しこりの状態から悪化し乳房の赤み、腫れ、強い痛みなどがみられる場合は乳腺炎を起こしている可能性があります。発熱、悪寒、だるさなど全身の症状を伴う場合もあります。(症状には個人差があります)
乳腺炎も理由は様々ですが、授乳間隔がいつもより長く空いたときや、赤ちゃんが十分に飲めなかったとき、急に授乳回数を減らしたときなど、乳房に母乳がたまりやすい状況で起こりやすくなることがあります。年末年始やお盆などのイベントシーズンも授乳のリズムが乱れたりママの疲れや冷えなどでご相談が増える時期でもあります。産後の疲労やストレスが重なっているときは、できるだけ休息をとることも大切です。授乳中は無理をせず、からだを冷やさないよう心地よく過ごし、十分な休息と水分補給を心がけましょう。

また、乳頭に傷がある場合なども乳腺炎につながることがあるため注意が必要です。症状が強い場合、悪化している場合、全身症状がある場合などは早めに医療機関を受診してください。

 

3. 授乳トラブルを減らすためにできること

ここまで0歳におこりやすい代表的なトラブルをあげてきましたが、残念ながらどんなに気を付けていても授乳トラブルを完全に防ぐことはできません。
母乳の分泌量や乳房・乳頭の形、赤ちゃんの口の大きさや吸う力、授乳のペースなどには個人差があり、さらに赤ちゃんの成長によって飲み方や授乳間隔も変化していくからです。

ママの体調や赤ちゃんの体調によって、いつも通りに授乳できない日もあります。だからこそトラブルを起こさないことよりも、早めに気が付いて対処する事が大切です。

 

<こんな時は専門家へ相談!>

(赤ちゃん)
・母乳やミルクをうまく飲めない
・体重増加が気になる
・尿が少ない
・元気がない
・いつもと比べて飲みが悪い
・その他、普段と違う様子がある

(ママ)
・乳房の赤みや腫れがある
・強い痛みがある
・発熱や悪寒などの全身症状がある
・乳首の傷や痛みが続いている
・授乳を続けることがつらい
・自分では判断できず不安が強い

 

まとめ

授乳は毎日のことだからこそ、うまくいかなかったり痛みがあったりすると、不安になりますよね。授乳の状態やトラブルの原因は本当にさまざまです。いつもと違うと感じたら早めに対処することが大切です。「これくらいで相談していいのかな…」なんて思う必要は全くありませんよ!不安な時は実際に赤ちゃんの飲み方や体重をみてもらうだけでも、とても安心すると思います。産婦人科・小児科・助産院・保健センターなど相談先はたくさんあります。自分だけで判断することが難しいときは、一人で抱え込まず、専門家に相談してくださいね。

 

■プロフィール

助産院太陽と月 大滝綾乃

助産師歴14年。「助産院太陽と月」院長。自宅出産のサポートや産後ケア、母乳・育児相談など、妊娠期から産後まで幅広く支援。3児の母として子育てをしながら、人生も子育ても幸せになる子育てコミュニティ「Happiness」を運営し、子育てや夫婦関係、ママ自身の心に寄り添う活動も行っている。

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